凍結中のサイト「雪見酒girl's talk(http://loveasgard.yukimizake.net/)」の続編など。
聖闘士星矢アスガルド編、黄金、女の子中心。捏造多め。ノマカプ推し。
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「全てを背負うことはないのだよ。アイオロス。ごらん、地上の砂漠を」
サガは、自らの意識を地上に飛ばした。アイオロスの意識が、自分に寄り添っている手応えを感じる。魂がシンクロしているのだろう。
菩提樹から数マイルほど離れた窪地に、7人の黄金聖闘士がいた。
アイオロスの魂から、軽い動揺が伝わってきた。眩しき獅子座の聖衣をまとい、黄砂の上に立つアイオリアの雄姿が見えたのだろう。
彼の隣には水瓶座のカミュが、カミュを囲むようにして蠍座のミロ、乙女座のシャカ、牡牛座のアルデバラン、牡羊座のムウ、魚座のアフロディーテが円陣を組んでいる。
「結論から言おう。例の菩提樹から数百キロ四方に、水脈はない」
水と氷の魔術師が冷たく告げた。
「やっぱり」
カミュの言葉に、男たちが頷き合う。
「では、ここではじめるしかありませんね」
ムウの声を合図に、アフロディーテ、カミュ、ミロ、シャカ、アルデバラン、そしてアイオリアが頷いた。
カミュが2、3歩後ろに引き、砂の大地に巨大な氷塊を出現させた。
何万年もの時を経ても溶けないと言われるフリージングコフィンだが、こちらは融点を上げている。灼熱の砂漠に冷気の陽炎をもたらす物体を、カミュは次々に出現させた。
少し離れた窪地に行ったアルデバランが、大地を殴った。
幾兆もの砂が舞飛び、その下の岩盤が削り取られ、砂漠に巨大なうろが開いた。拳は地殻をえぐり、マントル上部にまで達している。
「さすがはアルデバラン」
ムウの賞賛に、アルデバランが照れ笑いを浮かべた。
突如口を開けた大穴に、ミロとアイオリア、アルデバランが次々に氷塊を投げ入れてゆく。ミロとアイオリアに至っては、お互いに数を競っている様相ですらある。子供時代に子供らしい遊戯に興じてこなかった反動か。幼稚だが、スケールが子供ではない。
対してムウとシャカは、袋を広げて木の苗を取りだしていた。
「ムウはバオバブを持ってきたのか」
「はい。ゴビ砂漠でポプラの植林に成功した日本人がいますが。ここの気候はバオバブの方が向いていると思いまして」
「うむ。私はサボテンを持ってきた」
幼少の頃から雅やかな表情を常とするふたりが、心から張りのある笑顔を浮かべている。
「ま、選択は悪くないと思うが。砂漠に根付くかな。まずはこちらの土を撒いてからだ」
植物に詳しいアフロディーテが、ムウとシャカを手招きした。
「アイオロス。きみが子供だと思っていた少年たちは、立派に成人した。彼らと――同じ時代を共に生きてみないか」
木は何も言わない。
だが、僅かな動揺が伝わってくる。
サガは心を平らかにして、可能な限りアイオロスの意識に寄り添った。
「アテナが、きみに会いたがっている」
アイオロスが命をかけて守った赤子が、成長した美しい姿が、サガの脳裏からアイオロスの意識に流れて、注がれてゆく。
風もないのに大樹が揺れた。
幾重にも枝分かれした根の上方、根幹に真紅の貴石が輝いているのが見えた。アイオロスの心が熱く燃えると、紅蓮に輝くのだろう。この樹の生命源に違いない。
見つけた、とサガは確信した。知らず、口元に笑みが浮かんだ。
『やめろ、サガ』
アイオロスの強い拒絶が、暴風のように流れ込んでくる。
『オレは死んだ人間だ! 死んだ人間を蘇らせることに、アテナがどれほどの力を注ぐか知っているのか?! アテナは生身でいらっしゃる。あの小さな体に、どれほどの負担を! シオン教皇はそれを憂いて辞退した。オレも』
「アテナはきみの生を望んでおられる! アテナのために死ねるのなら、アテナの為に生きてみろ!!」
サガは拳を握り、一気に高めた小宇宙を爆発させた。
星々をも砕け散らす拳が、貴石を撃ち抜く。
『ここだ!!!! デスマスク!!!!』
「今だ! 根幹を真っ二つにいけ!」
デスマスクが叫んだ時には、シュラは聖剣を振り下ろしていた。
菩提樹が割れて、大地が裂けた。
湧き水が干上がり、流砂が舞飛んだ。
「冴えるね。聖剣エクスカリバー」
デスマスクが、若干青ざめた顔で口笛を吹いた。
「……成功したのか?」
「ああ、多分な。手応えは?」
「木ではなく、鉱物を刻んだ感じだ」
「なら、合格だ」
見るも無惨に倒された木と枯れた泉を見おろして、シュラも安堵の溜息をついた。
貴石が割れて、アイオロスの体が落下した。サガは両腕でがっちりと抱きとめると、ヘレニズム時代の彫刻を彷彿させる逞しい裸体を大地におろした。そして、アイオロスの身に絡みついている枝を無我夢中で引き離した。
「アイオロス、目を覚ませ!」
木のオブジェみたいに、アイオロスは目を覚まさない。
世界樹を破壊したことで、共有していた意識も消えてしまった。
「アイオロス!」
サガの指に引き剥がされて、アイオロスを包み込んでいた枝がボロボロと崩れ落ちてゆく。
アイオロスの体は冷たく、まるで枯れ木のように頼りない。小宇宙は感じるが、体温がないのだ。高度なヒーリングを得意とするサガが、送っても送ってもこちらの小宇宙を吸収しようとしない。
サガの額に焦りの色が浮かぶ。
このままでは、樹と共にアイオロスが朽ち果ててしまう。
「生きろ! アイオロス! 死ぬべきは、本来私なのだから……っ!」
サガはアイオロスの首に腕をまわし、物言わぬ唇に自らの唇を近づけた。
自らの生命を全て吹き込もうとしたその直前、ターコイズの色の瞳がパチッと開いた。
「ん?」
「は?」
「んんんんんん?」
唇と唇の距離、まさに2ミリメートル。
アイオロスの奥義アトミック・サンダーボルトが発動した。
「何さらすんじゃ! わりゃああああああ!!!」
超至近距離からぶっ飛ばされたサガは、尻餅をついたままアイオロスを見上げた。
「あれ……? サガ。それに、オレは……?」
かつての友が、自由になった手足を不思議そうに動かし、眺めている。
その姿が、解せない表情が、幾重にも重なって見えた。
アイオロスが帰ってくる。
まぶたの裏に、アテナの笑顔が浮かぶ。
果てのない喪失感から、アイオリアとシュラが開放される日が来る。
黄金の拳を握り、サガは滲んできた涙をぐいと拭った。
そして、アイオロスの眼前に、反対側の手を差し出した。
「おかえり。アイオロス」
無意識に、笑顔があふれる。
アイオロスは未だ、状況をのみこめていない。
だが、サガはかまわず続けた。
「みんな、待ち望んでいるのだよ。きみと、ともに生きる世界を」
サガは、自らの意識を地上に飛ばした。アイオロスの意識が、自分に寄り添っている手応えを感じる。魂がシンクロしているのだろう。
菩提樹から数マイルほど離れた窪地に、7人の黄金聖闘士がいた。
アイオロスの魂から、軽い動揺が伝わってきた。眩しき獅子座の聖衣をまとい、黄砂の上に立つアイオリアの雄姿が見えたのだろう。
彼の隣には水瓶座のカミュが、カミュを囲むようにして蠍座のミロ、乙女座のシャカ、牡牛座のアルデバラン、牡羊座のムウ、魚座のアフロディーテが円陣を組んでいる。
「結論から言おう。例の菩提樹から数百キロ四方に、水脈はない」
水と氷の魔術師が冷たく告げた。
「やっぱり」
カミュの言葉に、男たちが頷き合う。
「では、ここではじめるしかありませんね」
ムウの声を合図に、アフロディーテ、カミュ、ミロ、シャカ、アルデバラン、そしてアイオリアが頷いた。
カミュが2、3歩後ろに引き、砂の大地に巨大な氷塊を出現させた。
何万年もの時を経ても溶けないと言われるフリージングコフィンだが、こちらは融点を上げている。灼熱の砂漠に冷気の陽炎をもたらす物体を、カミュは次々に出現させた。
少し離れた窪地に行ったアルデバランが、大地を殴った。
幾兆もの砂が舞飛び、その下の岩盤が削り取られ、砂漠に巨大なうろが開いた。拳は地殻をえぐり、マントル上部にまで達している。
「さすがはアルデバラン」
ムウの賞賛に、アルデバランが照れ笑いを浮かべた。
突如口を開けた大穴に、ミロとアイオリア、アルデバランが次々に氷塊を投げ入れてゆく。ミロとアイオリアに至っては、お互いに数を競っている様相ですらある。子供時代に子供らしい遊戯に興じてこなかった反動か。幼稚だが、スケールが子供ではない。
対してムウとシャカは、袋を広げて木の苗を取りだしていた。
「ムウはバオバブを持ってきたのか」
「はい。ゴビ砂漠でポプラの植林に成功した日本人がいますが。ここの気候はバオバブの方が向いていると思いまして」
「うむ。私はサボテンを持ってきた」
幼少の頃から雅やかな表情を常とするふたりが、心から張りのある笑顔を浮かべている。
「ま、選択は悪くないと思うが。砂漠に根付くかな。まずはこちらの土を撒いてからだ」
植物に詳しいアフロディーテが、ムウとシャカを手招きした。
「アイオロス。きみが子供だと思っていた少年たちは、立派に成人した。彼らと――同じ時代を共に生きてみないか」
木は何も言わない。
だが、僅かな動揺が伝わってくる。
サガは心を平らかにして、可能な限りアイオロスの意識に寄り添った。
「アテナが、きみに会いたがっている」
アイオロスが命をかけて守った赤子が、成長した美しい姿が、サガの脳裏からアイオロスの意識に流れて、注がれてゆく。
風もないのに大樹が揺れた。
幾重にも枝分かれした根の上方、根幹に真紅の貴石が輝いているのが見えた。アイオロスの心が熱く燃えると、紅蓮に輝くのだろう。この樹の生命源に違いない。
見つけた、とサガは確信した。知らず、口元に笑みが浮かんだ。
『やめろ、サガ』
アイオロスの強い拒絶が、暴風のように流れ込んでくる。
『オレは死んだ人間だ! 死んだ人間を蘇らせることに、アテナがどれほどの力を注ぐか知っているのか?! アテナは生身でいらっしゃる。あの小さな体に、どれほどの負担を! シオン教皇はそれを憂いて辞退した。オレも』
「アテナはきみの生を望んでおられる! アテナのために死ねるのなら、アテナの為に生きてみろ!!」
サガは拳を握り、一気に高めた小宇宙を爆発させた。
星々をも砕け散らす拳が、貴石を撃ち抜く。
『ここだ!!!! デスマスク!!!!』
「今だ! 根幹を真っ二つにいけ!」
デスマスクが叫んだ時には、シュラは聖剣を振り下ろしていた。
菩提樹が割れて、大地が裂けた。
湧き水が干上がり、流砂が舞飛んだ。
「冴えるね。聖剣エクスカリバー」
デスマスクが、若干青ざめた顔で口笛を吹いた。
「……成功したのか?」
「ああ、多分な。手応えは?」
「木ではなく、鉱物を刻んだ感じだ」
「なら、合格だ」
見るも無惨に倒された木と枯れた泉を見おろして、シュラも安堵の溜息をついた。
貴石が割れて、アイオロスの体が落下した。サガは両腕でがっちりと抱きとめると、ヘレニズム時代の彫刻を彷彿させる逞しい裸体を大地におろした。そして、アイオロスの身に絡みついている枝を無我夢中で引き離した。
「アイオロス、目を覚ませ!」
木のオブジェみたいに、アイオロスは目を覚まさない。
世界樹を破壊したことで、共有していた意識も消えてしまった。
「アイオロス!」
サガの指に引き剥がされて、アイオロスを包み込んでいた枝がボロボロと崩れ落ちてゆく。
アイオロスの体は冷たく、まるで枯れ木のように頼りない。小宇宙は感じるが、体温がないのだ。高度なヒーリングを得意とするサガが、送っても送ってもこちらの小宇宙を吸収しようとしない。
サガの額に焦りの色が浮かぶ。
このままでは、樹と共にアイオロスが朽ち果ててしまう。
「生きろ! アイオロス! 死ぬべきは、本来私なのだから……っ!」
サガはアイオロスの首に腕をまわし、物言わぬ唇に自らの唇を近づけた。
自らの生命を全て吹き込もうとしたその直前、ターコイズの色の瞳がパチッと開いた。
「ん?」
「は?」
「んんんんんん?」
唇と唇の距離、まさに2ミリメートル。
アイオロスの奥義アトミック・サンダーボルトが発動した。
「何さらすんじゃ! わりゃああああああ!!!」
超至近距離からぶっ飛ばされたサガは、尻餅をついたままアイオロスを見上げた。
「あれ……? サガ。それに、オレは……?」
かつての友が、自由になった手足を不思議そうに動かし、眺めている。
その姿が、解せない表情が、幾重にも重なって見えた。
アイオロスが帰ってくる。
まぶたの裏に、アテナの笑顔が浮かぶ。
果てのない喪失感から、アイオリアとシュラが開放される日が来る。
黄金の拳を握り、サガは滲んできた涙をぐいと拭った。
そして、アイオロスの眼前に、反対側の手を差し出した。
「おかえり。アイオロス」
無意識に、笑顔があふれる。
アイオロスは未だ、状況をのみこめていない。
だが、サガはかまわず続けた。
「みんな、待ち望んでいるのだよ。きみと、ともに生きる世界を」
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