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凍結中のサイト「雪見酒girl's talk(http://loveasgard.yukimizake.net/)」の続編など。 聖闘士星矢アスガルド編、黄金、女の子中心。捏造多め。ノマカプ推し。
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ダウンタウン☆クリスマス



 商店街の福引きが当たった。
 一等 ハワイ旅行ペアで。
 ただし、15歳以下の方はチケット代金分の商品券をプレゼント。

「というわけで、寄付にきました」
 あからさまに「15万じゃ、買えないだろ」って量の本を大型ハリヤー山積みにして、城戸沙織がやってきた。星の子学園にやってきた。
 ハリヤーを見に来た子供たちは、大喜びだ。
 窓口担当の美穂は、ちょっぴり頬がひくひくした。

 好意はありがたい。
 寄贈はもっとありがたい。
 特に書籍は、何冊あってもありがたい。

 だが、美穂の脱力を煽るのは、そこではない。。
 買い出しをお願いした星矢がなぜ帰ってこなくて、なぜ沙織が来たのか。
 そしてなぜ、アポナシで大量の本がセットなのか。

 クリスマスの準備と平行して、こちとら大掃除の最中である。
 そして、あいにく図書室はまだ手つかずだ。
 埃も払わずに新しい本なんて入れたら、もう、夜中に泣きながら仕分けするしかない。
 だが、子供たちは多目的室に運ばれた本をとりかこみ、「わーい」と包みをやぶりまくった。

 星の子学園の蔵書は、学校や図書館からの寄贈品がほとんどだ。あたりまえだけど、古くて黄ばんでいる。
 だから、新品の本だ! 背表紙がついてる! ってだけで、ワクワクドキドキうきゃー♪ってもんである。
 しかも、「怪傑ゾロリ」シリーズや「怪談レストラン」シリーズといった、市井の小学生に大人気のシリーズを既刊分全て揃えるとか、良家のお嬢様にあるまじきナイスチョイスだ。
 もちろん、もっと小さい子用に「よるくま」や「バムとケロ」「こぐまちゃんシリーズ」あたりもぬかりない。
 美穂が密かにはまっている長新太の作品もどっさりこ。

 長年子供たちを世話してきた美穂が思うに、子供ってほんとうに本が好きだ。
 ケンカしたり、思うようにできなかったり、癇癪をおこしたり、いじわるをする子を膝に乗せて本を読んであげると、すーっと落ち着く。世話をする美穂も、クールダウンできる。
 じっとしていられない体質の星矢だって、星華が朗読を読み始めたら、つつーっとやってきておとなしく聞いていた。
 心から嬉しくて、楽しくて、次のページをめくりたくてわくわく! って笑顔たちを見せられたら、かわいくてほだされちゃって、やっぱり怒るに怒れない。

 図書館の掃除なんて、この子たちが最新書籍に夢中になってる間にささーっとやってしまえばいいのだ。
 美穂はひとり、心の中で誓いの拳をにぎりしめた。
「あ。ところで、星矢ちゃんはどーしました?」
「ツリーを頼まれたから、アスガルドまで伐りに来ると言っていました」
「なんでアスガルド?」
「北海道で充分ですのに、そそっかしいですね」
「……そこも、違う」
 ガッツがしぼむお嬢様のボケが炸裂。
 どうしてこのふたりは、お互いのボケにつっこむということをしないのだろう。
 ボケたらボケっぱなしというか、お互いボケに気がついていないというか。
 ある意味、ベストカップル。
 巻きこまれるこっちが迷惑だ。
 美穂はしばし放心したが、沙織の「用件がすんだのに帰りたくなさげな風情」に気がついてしまった。
 沙織お嬢様はキライだが、淋しそうな人を放っておけないのが美穂の性分である。
「お嬢様」
「はい」
「お暇ですか?」
「あ、はい。でも」
「じゃ。お掃除を手伝ってください。子供たちが本を見ている隙に、図書室を掃除してしまいましょう」
 お付きの辰巳が、ギロリと美穂を睨んだ。
 沙織お嬢様に向かって掃除をしろとは、なんたる狼藉とでも言わんばかりだ。
 だが、美穂は平気だ。沙織はもっと平気だ。
「辰巳、ホームメイド協会に電話を。では美穂さん、絵梨衣さんを呼んでお茶にしましょう。クリスマスパーティの計画をたてませんか?」
 お掃除はプロにまかせて、にっこり主導権を握る沙織。
 背後の辰巳が、ニヤリと笑った。
 美穂は口の端をひくひくさせながら微笑み、肩を落とした。

 このお嬢様のとんちんかんな親切は、これからもきっと続くのだろう。
 星矢の故郷が、この星の子学園である限り。

 携帯電話をピコピコやっている辰巳を置き去りにして、沙織をキッチンに案内した。
 応接間じゃなくてキッチンにするあたり、我ながら失礼な対応である。だけど、お楽しみ会のプログラムはここでお菓子を食べながらと相場が決まっている。
 なぜなら、応接間にお菓子を用意すると、子供たちが嗅ぎつけてくるからだ。そしておこぼれをもらえなかった子供が号泣する。
 その点、キッチンならば10歳以下立入禁止。美穂たちのお菓子を横取りされる可能性が下がる(ゼロとは言わない)
 沙織も、嬉しそうだった。
 素手で本を抱きしめていた手が、まだ白くかじかんでいた。
 ここに来るときの沙織は、意識して手袋をしない。ドレスも着ない。彼女なりに、汚れてもよさげな、子供たちにとけ込める服を、選んできていると思う。すっごい高いんだろうけど。
「ココア、用意しますよ」
「まぁ、嬉しいわ。ご馳走になります」
「安物ですよ。手、温めるだけにしたら?」
 安物だけど、美穂にとってはリラックスタイムの大切な友だ。
 牛乳をレンジでチンなんて、絶対にしない。
 ココアの粉末は丁寧にお湯で溶いて、沸騰しないように温めたミルクと混ぜて、お客様用のブランデーをほんの一滴。キッチンに、冬のにおいが満ち満ちた。
 
 沙織はというと、こんな風に気が利く美穂が大好きだ。
 美穂にとっては大迷惑という自覚もなく、『今は片想いだけど、絶対に友達になってやる』、と誓っているのだった。




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